記録庫の各記事に繰り返し出てくる用語を、一語ずつ整理しました。記事を読みながら戻ってくる場所として使えるように、それぞれ「一言で」「もう少し詳しく」「どの記録に出てくるか」の順で書いています。いずれも公開されている学術文献に基づく紹介で、特定の医療効果を主張するものではありません。
一言で:カンナビノイド受容体に結合する分子の総称。
出どころで三つに分かれます。植物が作る「フィトカンナビノイド」(THC、CBD、CBGなど)、人や動物の体内で作られる「内因性カンナビノイド」(アナンダミド、2-AG)、そして実験室で作られる「合成カンナビノイド」。この店で扱うCBXやH4CBHは、植物由来の分子を出発点に化学的な処理を加えたもので、分類上は三つ目に近い位置にあります。どの分類でも、受容体に結合するという一点で「カンナビノイド」と呼ばれます。
一言で:細胞の表面にある、特定の分子だけを受け取る「鍵穴」。
鍵(分子)が差し込まれると細胞の内側でスイッチが入ります。カンナビノイド受容体は「Gタンパク質共役受容体」という、人体で最も数の多い受容体の一族に属し、現在の医薬品のおよそ3分の1がこの一族のどれかを標的にしています。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:脳と神経系に多いカンナビノイド受容体。1990年に同定。
海馬(記憶)、扁桃体(感情)、前頭前皮質(判断)、基底核・小脳(運動)に高密度で分布します。呼吸や心拍を制御する延髄にはほとんど存在せず、この点がオピオイド受容体との決定的な違いとして薬理学で扱われています。THCをはじめ多くのカンナビノイドがまず結合するのがこの受容体です。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:免疫系に多い第二のカンナビノイド受容体。1993年に同定。
免疫細胞、脾臓、消化管、末梢組織に発現し、炎症に関わる信号物質の調整に関与する可能性が動物モデルで示されています。CB1と違い、活性化しても精神活性(感じ方の変化)を生まないとされます。ヒトを対象とした研究はまだ限られています。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:1992年に発見された、体が自分で作るカンナビノイド。
名前はサンスクリット語の ananda(至福)から。CB1受容体に対する「部分作動薬」で、鍵穴に合うもののスイッチを全開にはしません。役目を終えるとFAAHという酵素で速やかに分解されます。この酵素の働きが生まれつき弱い人は、血中のアナンダミドが高く不安を感じにくい傾向があるという観察が報告されています。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:1995年に発見された、もう一つの体内カンナビノイド。量では主役。
CB1・CB2の両方に対する「完全作動薬」で、脳内濃度はアナンダミドの数百倍とされています。逆行性伝達(下記)の主な担い手として働くことが示されています。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:信号が「後ろから前へ」戻る、内因性カンナビノイド特有の伝わり方。
通常の神経伝達は前の細胞から後ろの細胞への一方通行ですが、内因性カンナビノイドは後ろの細胞で作られ、前の細胞に向かって放出されます。「信号を受けすぎているので少し抑えてほしい」という、ブレーキ側のフィードバックとして働くと考えられています。備蓄されず、必要なときにその場で合成される点も特徴です。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:体が内部の状態を一定に保とうとする性質。
体温、血糖値、血圧の調整がその例です。内因性カンナビノイド系を「恒常性の調整システム」と位置づける研究者もいますが、「関連が示されている」ことと「因果関係が証明されている」ことは別です。神経科学者イーサン・ルッソが提唱する「クリニカル・エンドカンナビノイド欠乏症(CECD)」も仮説であり、医学的診断として確立されたものではありません。
一言で:脳が経験に応じて配線を変え続ける性質。
「ともに発火するニューロンはともに配線される」というヘッブの原理が基礎概念です。内因性カンナビノイド系がシナプスの可塑性の調整に関与することが複数の基礎研究で示されていますが、現時点では基礎研究の段階です。
一言で:長距離走の後に訪れる多幸感。主因はアナンダミドかもしれない。
長年エンドルフィンで説明されてきましたが、エンドルフィンは血液脳関門を通りにくいという問題がありました。2015年のマウス実験では、カンナビノイド受容体を塞ぐと運動後の不安軽減が消えたことから、血液脳関門を通れるアナンダミドが主因である可能性が示されました。マウスの結果をそのまま人に当てはめることはできません。→ 内因性カンナビノイド系とは
一言で:成分が単独ではなく「取り巻き」と一緒に働くことで作用が変わる、という考え方。
1998年にメシュラムらが体内カンナビノイドについて報告し、のちに植物のカンナビノイドとテルペンの関係にも拡張されました。当店のリキッドがテルペンを3種から選べる設計にしている根拠ですが、決定的な証拠が揃った理論ではなく、支持する研究者が多い仮説という位置づけです。→ 鍵と鍵穴 / テルペン3種の由来
一言で:植物の香りを作る成分。カンナビノイドと同じ場所で作られる。
松の香りのピネン、柑橘のリモネン、ラベンダーのリナロールなど、植物界に広く存在する分子群です。大麻植物では花の表面のトライコームでカンナビノイドと一緒に蓄えられ、品種ごとの香りの違いを決めています。当店のTrainwreck、Gushers、Kremlinは、それぞれの品種のテルペン構成を再現したものです。→ テルペン3種の由来



