カンナビノイドを扱う店の多くが「成分分析済み」とうたっていて、頼めば分析書を見せてもらえることも多いのだが、実際に届くのは英語と細かい数字がびっしり並んだ表で、どこを見れば安心していいのか分からないまま、分析済みなら大丈夫なのだろうと閉じてしまう人がほとんどだろう。このページでは、当店が扱う原料の分析書を実例にして、上から順に、どこに何が書いてあって、どの数字をどう読めばいいのかを並べていく。
見るべき場所は、実はそれほど多くない。

いちばん上には検査機関の名前と所在地があり、その下に、何を検査したのかを示す欄が続いていて、Sample IDは検査機関が検体に振った番号、Batchは依頼した側のロット番号、Typeは検体の種類、Matrixは形状を表している。この分析書ではTypeがRaw Material、つまり原料で、MatrixがConcentrate - Distillate、濃縮された蒸留物ということになり、右側のReceivedとCompletedは、検査機関が検体を受け取った日と検査を終えた日だ。分析書に書かれているのは検査したその検体についての結果だけなので、日付やロットがいつのものなのかは、数字を読む前に一度確かめておきたい。
何を、いつ測ったのか。まずそこからだ。
写真の下に並ぶ枠はいわば要約で、この分析書ではTotal Δ9-THC、CBG、Total Cannabinoidsの三つに数字が入り、Moisture Content(水分)とForeign Matter(異物)はNot Testedになっている。Not Testedは「問題がなかった」ではなく「その項目は今回調べていない」という意味で、分析書は依頼された項目しか測らないものだから、何が調べられていて何が調べられていないのかを、数字と同じくらい注意して見る必要がある。
空欄は、合格ではない。
下の表は左から、調べた成分の名前、LOD、LOQ、そして結果が二列という順に並んでいて、結果の二列は同じ数字を単位を変えて書いているだけだから、1%が1gあたり10mgにあたることさえ知っていれば、CBDの5.74%が57.4mg/g、CBGの30.4%が304mg/gと、右の列がちょうど左の10倍になっていることが分かる。
| Analyte | 調べた成分の名前 |
|---|---|
| LOD | 検出下限。これより少ないと、あるかどうかも判定できない量 |
| LOQ | 定量下限。これより少ないと、いくつあるかを数字で確定できない量 |
| Result(%) | 結果を重さの割合で示したもの |
| Result(mg/g) | 同じ結果を1gあたりのmgで示したもの |
右の二列は、同じことを言っている。
結果の列にいちばん多く並んでいるNDはNot Detectedの略で、LODより少なかった、つまり検出できなかったことを意味するのに対して、2ページ目のΔ9-THCの行にはNDではなく<LOQと書かれていて、こちらは「検出はされたけれど、LOQより少なかったので数字としては確定できなかった」という意味になる。そこでまとめ欄に戻ると、Total Δ9-THCは0.000045とあり、単位の表記はないものの表と同じ%で読めば、LODの0.00003%とLOQの0.0001%のあいだに収まっていて、表の判定と食い違っていないことが確かめられる。

同じNDという文字でも、その重みは成分ごとのLODによって変わり、この分析書でも、THCの仲間の多くはLODが0.0133%で測られているのに対して、Δ9-THCとΔ9-THCAだけは0.00003%と、桁が三つ違う細かさで測られている。
NDを見たら、隣の下限も見る。
2024年12月に施行された改正法で、製品に残るΔ9-THCには上限が決められていて、厚生労働省の通知では電子タバコはおおむね「それ以外」の区分に入るとされている。ppmは百万分の一のことで、1ppmが0.0001%にあたるから、区分ごとの上限を分析書と同じ%に直すと、次のようになる。
| 油脂(常温で液体)・粉末 | 10ppm(0.001%) |
|---|---|
| 水溶液 | 0.1ppm(0.00001%) |
| それ以外(電子タバコなど) | 1ppm(0.0001%) |
ここで大事なのは結果の数字だけではなく、LOQが基準値より低いかどうかで、もしLOQが基準値より高ければ、<LOQと書かれていても基準を下回っているとは言い切れない。この分析書のΔ9-THCはLOQがちょうど0.0001%、つまり1ppmで、結果はそれより少ない<LOQ、まとめ欄の値をppmに直せば0.45ppmなので、この検体については、いちばん厳しい水溶液を除いたどの区分の上限も下回っていると読める。
見るべきは、結果と基準と、そのあいだの下限だ。
表の見出しにあるHPLC-PDA、GC-MS/MS、LC-MS/MSは測り方の名前で、成分を分離したうえで、光の吸収や分子の重さで見分ける方法を組み合わせていて、MS/MSと付くものは特に微量の成分を捉えるのに向いている。2ページ目の右下にはISO/IEC 17025の認定マークがあり、これは試験所が正しく測るための能力と仕組みを持っていることを示す国際規格で、第三者の審査を経た検査機関かどうかは、分析書そのものの信用にそのまま関わってくる。
数字を信じられるかは、誰が測ったかで決まる。
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